こんにちは、豊岡テクノセンターの箕浦と申します。
今回は鈑金塗装の修理事例をご紹介します。
ホンダ S2000 右側面の損傷
右ドアと右クォータパネル、右ロッカーパネル交換です。左右フェンダーとボンネットフードにも割れたガラスが飛散して傷ついています。
ドアのガラスが割れて室内にもガラスの破片が飛び散っている状況です。
まずは、ボルトでとまっている前後バンパーと右Frフェンダ、右ドアを取り外します。
車両を4点で固定してフレーム修正機で粗出しをします。
ロッカーパネルやクォーターパネルは溶接でとまっているうえに2重構造になっっているため、外側のパネルをカットして引いています。
修正機で引き作業を行いながら寸法を計測しますが、引っ張っている時と力を緩めた時では寸法が異なるため、どの程度修正機を緩めたら骨格が戻るのかを計算しながら作業するのが技術者の腕の見せ所です。
右側面の外板パネルをすべて外して骨格の寸法をミリ単位で計測、この工程までがいい加減だと組み付けの際に隙間が合わずに品質が落ちます。ここから折り返し地点です。次に元の形に復元作業を行っていきます。
ロッカーパネルとクォーターパネルを溶接します。この時点でフェンダーやドアなどを一度仮組して精度を出します。
鈑金工程が終わったのでいよいよ塗装工程に入ります。
ロッカーパネルの下部には防音や飛び石傷を防ぐためチッピング塗装を施します。
塗装ブースの中で外板パネルを塗装します。今回の塗膜はソリッドなので、隣接パネルへのオーバーコートはしません。調色がいい加減だと色の違いが出てしまいます。調色の際に白い色を見ながら技術者は「黄色いなぁ」とか「赤いなぁ」「黒いなぁ」と言いながら行っています。一般の人が聞いたら「白だよ」って突っ込まれそうですね。
また、塗装の際には塗り肌を元の状態と合わせることが重要で、これがあってないと査定をする人間や同業者から「下手だな」と思われるので技術者の腕の見せ所です。
「
塗装が終わったら乾燥させて組み付けたら完成です。ちなみにドアなどの外板パネルは塗装されておらず、ガラスや内張、パワーウインドモーターやロックなど何もついていない状態で支給されます。これは、ディーラーさんでもどこでも同じです。
組み付けが終わると磨き作業でゴミやブツを取り除きます。
最後に外観と機能チェック、トーイン測定、走行テスト、CPU診断を行い総合的に確認をして問題がなければお客様の元にお渡ししています。
今回の修理費用は技術費用¥375,380、部品代¥432,140で合計金額¥807,520(税抜き)でした。
個人的にはこういう走る車が好きなので修理が終わって完成した車両を見るとうれしくなります。
ここまでは自己満足ですが、実際にお客様が喜んでくれると更にうれしくなります。
鈑金塗装はいつでもマイナスからのスタートなので、大変なことも多々ありますが一件一件にプラスになることができたらという思いで仕事をしています。