なぜ、トヨタグループに不祥事が起こるのか?
先日、スズキの営業マンが来たので、「ダイハツが製造中止で売れて仕方がないだろう!」と話しをしたら、
ニコニコしていました。そこで一言、来年のノルマは今年の販売台数にプラス何%ですかね?営業マンの笑顔が消えました。ノルマは複利ですからと言うと不思議そうな顔をしたので、解説をしました。新入社員の頃のノルマは何台でしたか?例えば、月間10台だとしましょうか。年間120台です。翌年は、5%増とすると126台になりますね。その翌年も5%増とすると132台です。10年目には195台になります。そう、複利なのです。トヨタディーラーの不正車検をはじめとして日野自動車やダイハツ工業、豊田自動織機、デンソーなど多くの不正事案が発覚しました。台数だけではなく、仕入れ価格も品質も納期も前年よりもより安く・より高く・より早くを求め続ける文化があるのでしょう。これも複利と捉えることができますよね。どこの会社も同じでしょうけど。トヨタには、トヨタ生産方式の生みの親と言われた大野耐一さんの教えに「モノとコト」というのがあります。モノにあたるのは、製品や事業、工場やシステムなどを実現させたり成功させようと取り組む対象です。コトはそれを達成するために工夫を重ねる手段や努力です。コトが良くなければ、モノが進歩しないばかりか事故や異常、不良につながるのです。コトに正しく知恵を使え
ばコト自体が進歩するということです。つまりコトとはイノベーションのことなのではないでしょうか。
コトを「やればいい」「やらせればいい」のではなく、知恵を使って的確に精度を高める工夫が求められているのではないでしょうか。大野耐一さんが亡くなって34年、トヨタの中に大野耐一イズムが薄れているのではないかと危惧するのです。