日本経済新聞1月5日付け朝刊のAnalysis欄の、危機克服への道筋時②・にコロンビア大学教授の
ローラ・フェルトカンプ氏の「感染の『傷痕』回避 総力結集を」と題したリポートが掲載されていました。
一部を抜き題してみよう。「いつになったら元通りの生活に戻れるのか」とよく聞かれる。
筆者の答えは「二度と戻れない」だ。略 今回のパンデミック(世界的流行)は家庭、経営者、グローバル経済に
とってトラウマとなる出来事だ。その傷痕はなかなか癒えない。こうした出来事が残す傷痕の一つが恐怖だ。
恐怖があると人はリスクをとらなくなる。略 経済的にみると、恐怖は高いものにつく。略 健全なリスクテイク
は持続的で堅実な成長に欠かせない要素だ。恐怖が新型コロナの置き土産として残されたら、
経済成長は一世代にわたり低迷しかねない。恐怖が生じるのは、きっと悪いことが起きると考えるからだ。
恐怖は「確率評価」に根差している。トラウマになるような異常な出来事は恐怖の源泉となる。略
大半の人はパンデミックで経済活動が停止する可能性など考えたこともなかっただろう。
もはや私たちは経済的リスクをこれまでと同様に考えられない。これが「傷痕効果」だ。略
筆者はパンデミックの傷痕効果により生じる長期的損失や投資の変化を定量化した。略
リスク増大に直面した投資家は貯蓄を増やすことを選ぶ。また安全債券の需要が高まると、債券価格は上昇し
利回りは低下する。略 感染拡大を抑え込むためのロックダウン(都市封鎖)など政府の積極的な対策は様々な形で
設備稼働率を大幅に押し下げる。航空機の座席は半分しか使われず、レストランは席を空けて座り、
対面販売の小売店は休業を余儀なくされた。変化を受入れて人々は新しい対処法を学んだ。
オンライン会議技術が普及し、店舗はオンライン販売を強化した。学校の先生はオンライン授業の運営方法を
学んだ。ウイルスが退治されても、今回得た知識や新しい習慣の一部は定着すると考えられる。
多くの人が喜んで週1回の在宅勤務やオンライン会議を受け入れ、実店舗の混雑を避けてオンラインで買い物を
するようになるだろう。こうして技術の急速な変化が起きる。そしてすべての技術革新は、勝ち組と負け組を
生む。従来の慣習が捨てられれば、商業施設や航空機、ホテル、オフィスの一部は不要になるし、
新しい技術や習慣に適応できないインフラも出てくるだろう。資本ストックに残されるこうした傷痕は
パンデミックのもう一つの長期的なコストとなる。略
2回目のシミュレーションでは、感染力が強くロックダウンが頻繁に実施されると仮定すると、
20年のGDPは9%減にとどまるが、長期コストはGDPの90%に達した。
これほど莫大なコストが生じるのは驚きだが、今後の政策を考える指針にもなる。
検査、接触の検出・追跡、マスク着用義務といった感染拡大を抑え込む公衆衛生政策の重要性が
改めて浮き彫りになった。同時に、企業が事業を継続し利益を上げられるようにすることの重要性も
はっきりした。経済的見地からすると、感染症のグローバル・モニタリング(監視)・システムを構築することが
望ましい。略 。詳しく知りたい方は、新聞を読んで下さい。
昨日、緊急事態宣言が発出され、飲食店などの営業時間が8時までとされ、酒類の提供は7時までとなりました。
ローラ・フェルトカンプ教授の分析を見ると、こうした政策が的を射たものであったと言えるだろうか。
マスコミに煽られた大衆の「恐怖」は、行政から適切な判断力を奪てしまわなければいいがと危惧します。
今朝のTBSの「朝チャン」で、西蒲田商店街の居酒屋さんからの放送が有りました。
リポーターは、居酒屋の店主らしき人に緊急事態宣言が発出されてどうかとインタビューをしていたが、
その店では飛沫感染防止用のパーティション等は設置してなかったように見えた。
前回も書いたが、事業を継続して利益を上げたいと思うなら、従業員と顧客の安全と安心を図るべく感染防止対策
を自ら行うべきであろうと考えます。
全国の飲食店の経営者に、そうした意志と行動が求められているのではないでしょうか。
私も早くみんなと飲みに行きたいから、頑張って下さい。