AIJ投資顧問会社が破綻して、資金を委託していた多くの中小企業が困るでしょうね。
私も以前、静岡県自動車整備厚生年金基金と云う総合型の基金の理事をしていました。
この基金は、8年程前に何とか解散することが出来ました。
年金基金は、基礎年金を1階、厚生年金を2階とすると3階か中2階に当るんですね。
基金の掛け金だけでは少ないので、厚生年金から借りて(代行と云います)一緒に運用する制度なのです。
だから、解散する場合は当然厚生年金に代行部分に利息を付けて返さなくてはなりません。
足らなければ企業が負担するのです。社員に良かれと始めたのにね。
報道等ではこうした基金を金融のプロ等と云ってますが、実態は全くの素人集団なのですよ。
多くの総合型の基金は同業種の中小企業によって作られていて、運営も加盟企業の代表によって
行われているのです。運用に関しては、年に数回委託先の信託銀行の社員が来て説明してくれる程度です。
静岡県自動車整備厚生年金基金は、運用の悪化から積立金不足になり本体企業の経営にまで影響を与えるような
状況になったので解散を決めたのです。
理事をさせて貰ったお陰で、年金制度が少し理解できました。
そもそも、日本の年金制度には無理があるのです。
厚生年金も含めて、予め貰う金額が決まっている確定給付型なのです。
基金は5.5%の運用利回りが給付の前提でした。
この低金利の時代にどこに投資すればこの利回りが得られるんですかね。
1年定期の利息が5%も6%もある時代の遺物なんですよ。
当然赤字が出ますから、株式のウェイトが多くなったり、高利回りの投資に釣られたりしたんだと思います。
しかし、静岡県自動車整備厚生年金基金の理事長はじめ全理事は解散と云う大英断を下し実行したのです。
少し酷な言い方かもしれませんが、周りや時代に流されることなく、情報を集めよくよく考えることこそ
経営者の責務なのだと思います。政府に尻拭いを泣き付くことだけはして貰いたくないですね。
政府は、実態を診て真剣に社会保障制度を改革して下さいよ。
政治家と役人のいい加減さが、この国を衰退させ、国民を困窮に陥れる元凶なのです。