5月20日付けの日経新聞に"最低賃金上げ、判断二分"と云う記事が載っていました。
最低賃金の引き上げを巡り、世界で判断が分かれている。
新型コロナウィルスの感染拡大に伴う景気の急速な冷え込みで、英国は4月に過去最高となる6%の引き上げに踏み
切った。米国は2020年に24州が上げる予定だ。3%上げを掲げてきた日本は小幅になる可能性がある。
解雇で雇用を調整する米英と賃金の抑制で雇用を維持する日本との違いが出ている。と記されている。
新型コロナの感染拡大で厳しい外出制限を敷く英国では4月、25歳以上のフルタイム労働者を対象にした最低賃金を
時給8.72ポンド(約1150円)にした。
英国は平均賃金と最低賃金差を一定比率まで縮める方式で、この目標に向かって最低賃金を上げる。
また、「米英は賃下げはせず、雇用者数を調整することが多い」と日本総合研究所の山田久副理事長は話す。
最低賃金の引き上げの効果は1つが従業員の士気が上がり、生産性の向上につながる。
もう1つは、賃金を十分に出せない企業を淘汰し、産業全体の新陳代謝を促進する。とも記されている。
日本はどうだろうか。
未だに高度成長期の再来を夢見て、もの創りだイノベーションだといって生産性の高い製造業の復活を夢見ている
が、その多くは安い労働力を求めて海外に出て行き、今や国内産業の6割以上は生産性が低く賃金が安いサービス産
業が占めている。一方、賃金に関してもよく正規社員と非正規社員の格差が問題にされるが、企業の規模間における
格差はそれ以上に大きいかもしれない。従業員1000人以上の大企業を100とすると、零細企業は30程度ではなかっ
たかと思う。
バブル崩壊以降の日本では、失われた20年とも30年ともいわれデフレが続くが、デフレの原因は私には解らない。
只、言えることは、日本人の意識も日本政府の施策も過去の成功体験にしがみつき、現実を診ようとしない
ことである。
産業構造の変化は、施策のみならず雇用に於いても変化を齎すことは当然であろう。
この記事の隣に、"欧米は従業員に配慮"との記事があった。
新型コロナウィルス危機を受けた企業支援策が出そろってきた。日本は中小企業支援の官民ファンドや大企業向けの
資本注入の枠組みを始める。世界各国は企業支援と従業員利益の保護を結びつける姿勢が目立つ。アフターコロナも
見据え、経済発展につながる支援策にして行けるかが肝心だ。
また、失業者増による経済全体への損失を抑えるためにも、適切に企業を支援することは大事だ。
もっとも、一定の規律づけは不可欠だ。
ドイツは直近の経営状況の健全性や競争力確保などをみて企業支援の是非や条件を決める。
野村総合研究所の木内登英氏は「雇用維持だけでなく、地域の産業振興や再編につながる視点も大事だ」と指摘する
とある。
英米独などは、雇用に配慮しながら企業支援策を講じているが、産業振興の視点から企業に対しては概して厳しい。
雇用の責任は何処にある?
雇用を企業に押し付け解雇させない様にするだけでは何も解決はしないどころか、非正規社員の増加を招くだけであ
る。
社会も企業も働く人も共に良くなるためには、企業も働く人も共に成長する必要があります。
雇用の責任は、国、企業、労働者それぞれに有るのではないでしょうか。
企業は、健全な発展と共に雇用と福利を提供し、労働者は、自ら学び時代と企業が求める知識スキルを提供できる様
に自らを高める。国は、職を失った労働者に対し安心して暮らせる保障と学び(リカレント)の機会の提供。
コロナ後の経済と共にこれからの日本経済を考える時、今の国の在り様と日本人のぬるま湯に浸かった茹でガエル意
識を変えないと、次の世代に大きな禍根を残すことに成り兼ねないと、新聞を見ながらため息が。